『7Sモデル』で見抜く不正の温床と構造改革の鍵
企業や組織での不正や不祥事が繰り返し発生する背景には、単なる「一部の人」の問題ではなく、組織全体の構造や文化に潜む原因が潜んでいることが少なくありません。
そんな問題意識を持つあなたにとって、マッキンゼーの「7Sモデル」は、組織の真の姿を見極め、不正や不祥事を防止するための指針を提供してくれるフレームワークとなってくれるでしょう。
マッキンゼーの7Sモデルは、組織を構成する以下の7つの要素から成り立っています。
- Strategy(戦略)
- Structure(組織構造)
- Systems(システム)
- Style(スタイル・組織文化)
- Staff(スタッフ・人材)
- Skills(スキル)
- Shared Values(共有する価値観)
この7Sが組織の健全性や成果に密接に影響を与えており、これらのうち一つでも欠けると、不正やコンプライアンス違反といった問題が発生しやすくなる可能性があります。以下でそれぞれの要素がどのように不正と関係するのかを詳しく見ていきましょう。
1. Strategy(戦略)
戦略は、組織がどの方向に向かうべきかを示す「地図」です。利益追求のみを目指す短期的な戦略が優先されると、法や倫理を軽視する行動を助長しかねません。たとえば、ある企業が「成果主義」を重視するあまり、不正行為を行ってでも数字を達成しようとする風潮が生まれることもあります。戦略に「持続可能性」や「倫理的な価値」を組み込むことが、不正防止の第一歩です。
2. Structure(組織構造)
組織構造が縦割りで権限が集中している場合、不正が起こっても他部門や上層部に気づかれにくい状況を作り出すことがあります。また、情報共有が不十分な場合、不正やミスが隠蔽される恐れも増します。透明性と柔軟性のある組織構造の構築が、不正を抑止する重要な要素です。
3. Systems(システム)
評価制度や報酬制度が不正に繋がるケースも少なくありません。例えば、「売上目標を達成すれば報酬が得られる」という制度だけが重視されると、個人やチームが不正を働く動機になります。プロセスの整備と定期的な見直しにより、社員が倫理的に働く環境を整備することが大切です。
4. Style(スタイル・組織文化)
組織文化は、特に「トップの振る舞い」が大きく影響を与える要素です。トップが規範を破る行動を容認するか、もしくは率先して行う場合、組織全体に不正が広がりやすくなります。「守るべきものは守る」という倫理を示すリーダーシップが求められます。
5. Staff(スタッフ・人材)
人材の採用方針や育成方針も、不正に影響を与えます。多様性の欠如や過度な成果重視の人材配置は、不正の温床となる可能性が高まります。倫理的な価値観を持つ人材を採用し、継続的な育成を行うことで、組織全体のモラル向上が図れます。
6. Skills(スキル)
組織のスキルは、不正防止に向けた「リスクマネジメント」や「コンプライアンス」のスキルも含まれます。これらのスキルが不足していると、不正が発覚しても適切に対応できない場合があります。組織全体でのスキル向上は不正抑止の要素としても重要です。
7. Shared Values(共有する価値観)
7Sの中心に位置する「共有する価値観」は、組織全体の意思決定や行動の基盤となるものです。不正の起きやすい組織では、「利益最優先」「スピード重視」などが価値観の中心になっていることが多いです。ここに「信頼」や「透明性」といった価値観をしっかりと据えることが重要です。
7Sモデルを使って組織の不正を防ぐには?
ここまでの話を聞いてこう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
🤔「っで、どういう風に活用すれば良いんだろう?」
その疑問にお答えしましょう!
7Sモデルを活用して、組織内の不正やリスクの兆候を定期的にチェックし、戦略的な改善を図ることが求められます。
各要素が健全に機能し、バランスが取れているかどうかを確認することで、組織の透明性が高まり、倫理的な文化を根付かせることができます。また、改善には時間がかかることもありますが、一貫性のある取り組みを行うことで、信頼できる組織作りの一助となります。
マッキンゼーの7Sモデルは、組織の不正や内部構造の問題に向き合う上で、有効なチェックリストといえます。
以上何かしらの参考になれば幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。