「効率的市場仮説」という言葉を聞いたことはありますか?
この仮説は、シカゴ大学のユージン・ファーマ教授により1970年に提唱されたもの。
すべての利用可能な情報が完全に市場価格に反映されているため、投資家が独自の調査や憶測を行っても、掘り出し物の株式を見つけることはできない、という考え方になります。
ざっくり要約すると、「今現在の株価は常に正しい」「未来の株価は誰にも分からない」とする仮説のことです。
もしこの仮説が正しいのなら、投資家が株式を安く買うことも高く売ることも出来ず、銘柄の選定や市場のタイミングから市場の平均以上の実績を得るのは不可能、ということになります。
しかし実はこの仮説には続きがあり、「ファクター」(特定のリスクを負う代わりに報酬が得られる特性)に基づく銘柄選びで追加リターン確保は可能、という考え方が存在します。
そんな「効率的市場仮説」に逆行する新たな仮説が提唱されています。
それが「非効率な市場仮説」です。
この仮説はクオンツ運用大手AQRキャピタル・マネジメントの共同創業者クリフ・アスネス氏がジャーナル・オブ・ポートフォリオ・マネジメントの50周年記念号向けに執筆された論文にて提唱したものです。
クリフ・アスネス氏は効率的市場仮説を提唱したユージン・ファーマ教授の弟子になります。
その論文では、「34年間で市場の効率性は下がったと考える」「今後、値動きはより大きくなり、長期化するだろう。」
「長く手放さないでいられる人は利益を確保できるが、それがますます難しくなるだろう」
「合理的なアクティブ投資に対するリスクを高めている」と述べられていました。
もし仮に「非効率な市場仮説」が機能しているのであれば、先ほど紹介したファクターに基づく投資手法が困難になる、ということになります。
これはアクティブ投資のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
とはいえ、「効率的市場仮説」も「非効率な市場仮説」どちらも科学的に証明されたわけではなく、必ずそうなると確信を持って言われるものでもありません。(だからこそ”仮説”なんですけどね…)
インデックス投資家はどうしていけば良いか?
さて、このような仮説が存在する中、インデックス投資家はどのように行動していけば良いのでしょうか?
結論、「今のまま愚直にやること(積み立て)をやっていく」です。
今回取り上げた「効率的市場仮説」も「非効率な市場仮説」も、アクティブ投資を行う際に気を付けなければいけないものになります。
仮説が正しかろうが間違っていようが、長期的に市場全体に投資していくインデックス投資にはあまり関係がありません!
特定銘柄が上昇下落することを予想せず、人類の経済成長に賭け、長期的に保有してリターンを収斂させていく。
この考え方で投資を行なっていくのであれば、市場を出し抜いて自分だけ得しようとする方針を取る必要は無いはずです。
過去の様々なデータやクリフ・アスネス氏の「長く手放さないでいられる人は利益を確保できる」と発言しているように、鬼ホールドによる長期投資のリターンはバカにできないのです。
もうすでに実践している方、新NISAやiDeCoでインデックス投資を始めた方は、今やっていることに自信を持って”適正なリスクの範囲内”で続けていきましょう!
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。