世界人口の約0.2%。
この数字を聞いてピンとくる方はいらっしゃいますかね?
この数字は世界にいる”ユダヤ人”の割合です。推定人口約1,460万人と2024年現在の東京都人口(約1,417万人)と同じくらいの人口です。
そんなユダヤ人ですが、歴代のノーベル賞受賞者の22%、経済学賞では40%を占めています。
そしてメタプラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ、Google創業者のラリー・ペイジ、マイクロソフトのスティーブ・バルマー、Bloombergの創業者マイケル・ブルームバーグ、
といった名だたる企業のトップはユダヤ人となっています。
この成功の土台になっているのが、タルムードと言われる聖典になります。
様々な事例を子供でも分かるように、昔話風で書かれています。
今回はそのタルムードのお話の一つ「7匹の太った牛と7匹の痩せた牛」についてご紹介します。
こちらのお話はタイトルにもあるように、【バブル崩壊後も無事な人とはどんな人か?】を考えるキッカケになります。
厳密にはヘブライ語で書かれたタルムードが聖典と見なされるようです。他の言語に翻訳してしまうと、誤訳される可能性があるためです。
ですので今回は『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』といった日本語で解説された書籍を参考に、私なりの考え方を交えながら紹介して行きます。
ぜひ最後までお付き合いください。
それでは本題に参ります。
7匹の太った牛と7匹の痩せた牛
ある時、エジプトのファラオが夢を見た。ナイル川のほとりから7匹の”丸々と太って体格の良い屈強な牛”が現れた。
その牛たちはナイル川に生えている葦(草)を食(は)んでいた。
ところが、ファラオが立ち去ろうとすると、その7匹の健康極まりない太った牛の後ろから、同じく7匹の”ガリガリに痩せこけて肋骨が見える”、いかにも不健康そうな牛が現れて、なんとその太った屈強な牛たちを食べてしまったのである。
ファラオは、この夢がどういうお告げなのかと国中の預言者や臣下たちを集めて聞いたが、誰もわからなかった。
たまたまその時牢屋に閉じ込められていた一人のヘブライ人が、夢をよく当てるというので、ファラオの前に召し出された。
※このヘブライ人こそ後にエジプト最高執政官になるジョゼフである。
時代の流れを正確に読み解いた人類史上初の経済学者とも言われている。
ジョゼフはファラオに向かって、こう告げた。
「エジプトにこれから7年間大豊作が訪れます。その間は豊作に次ぐ豊作で、驚くほど穀物が採れ、大豊作となるでしょう。
しかしその後の7年間は大飢饉が訪れます。何の作物も育たず一粒の小麦も取れないほどの大飢饉です。
人々が大豊作のことを思い出したくても思い出せないほどの、恐ろしい大飢饉が7年間も続きます。」
ファラオが「どんな対策を考えているのか?」と聞くと、ジョゼフは「豊作の7年間の間に毎年の収穫を食べ尽くしてしまわずに、可能な限り貯蔵しなさい」と進言した。
ファラオはその通りにして、穀物を可能な限り倹約して貯蔵した。
豊作の7年間が過ぎ、8年目に予言通りの大凶作が訪れた。
その大飢饉はエジプト全土を覆い尽くすのみならず、全世界にまで及び、7年間もの間人々を苦しめた。
そして多くの周辺諸国は大飢饉によりその富の全てを失ったが、ジョゼフの進言を取り入れたファラオのエジプトだけは、蓄えていた穀物で長き受難を乗り越えられたのである。
苦境を乗り越えられるのは準備したものだけ!
以上が『7匹の太った牛と7匹の痩せた牛』のお話の内容です。
農作やビジネス・投資に限らず人生というのは、良い時期もあれば、悪い時期もあります。
凶作(悪い時期)を乗り越えられるためには、豊作(良い時期)の時に”どれだけ備えていたか?”が必要不可欠です。
調子の良い時期というのは有頂天になり、「この状態が永遠に続くんだ!」「これからも伸びていくんだ!」と思ってしまいがちです。
ですが皆さんもお分かりのように、そんなに順風満帆に行くほど人生は上手くいかないのです。
株式投資に絞って言うと、日本で80年代に起きた資産バブル。アメリカで起きたITバブルや住宅バブル。そしてコロナ後の米国株の上昇。
これらの時期はみんな有頂天になり、暴落やバブル崩壊のことなんか考えもしないのです。
その結果、悪い時期が訪れると揃いも揃って損をしたり、市場から退場したりするのです。
確かに一時期のブームに乗って資産を増やすのは、決して悪いことではありません。むしろ短期的に稼ぐにはもってこいの方法です。
ですが”引き際を誤ったり、何も準備をしていないと、大ダメージを喰らってしまいます。最悪致命傷を負いかねません!
水戸黄門のオープニング曲にこのような歌詞がありましたよね?
「人生楽ありゃ苦もあるさ」
ユダヤ人もこう考えるようで、陽のあるうちに闇夜の打開策を準備しなかった人は永久に闇の中に葬り去られる、という教えがあるそうです。ちょっと怖い言い方ですが、結局どんな時であれ”最悪期の想定をしていくこと”、これが生き残っていくために必要な真理ということでしょう。
ちなみにユダヤでは「7」という数字を一区切りと捉えるそうで、ヘブライ書によると「神は天地創造を6日間で成し遂げ、7日目に休養した」と記されています。
6日働いて1日休むサイクルを実施したのは人類史上ユダヤ人が初めて、とのこと。
まとめ
個人的な主観ですが、日本株にせよ米国株にせよ、今の株式市場は今回紹介したお話にあった6〜7年目に差し掛かっている、と考えています。
つまり、近い将来悪い時期に転落する可能性がある、ということです。
実際、市場参加者は「米国経済はソフトランディングできるんだ!」といった楽観的な期待一色です。景気後退の予兆を指し示す様々な統計データ(雇用統計然りクレジットカード債務残高然り)が浮き彫りになっているにも関わらず、です。
ですが恐れることはありません!しっかり準備しておけば、最悪期は乗り越えられるのです!
これは私自身、全財産を失いながらも資産を増やしてきた実体験から言い切れます!
ただお話では7年の凶作を乗り越えてめでたしめでたし、という結末で終わっているように見えますが、実際次の7年はまた豊作の時期がやってくるとは限りません!
もしかしたらもう一度凶作に見舞われるかもしれません。そういったことも想定して生きてきた&生き抜く知恵を身につけてきたからこそ、今のユダヤ人の地位があるのだと私は思っています。
少しでもユダヤ人の思想を取り入れて、自分自身の人生を良くしていきたいですね。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。