株式市場
8月14日の米国株式は、7月のCPI(消費者物価指数)がほぼほぼ市場予想通りだったことを受け、「9月の利下げは確実である」との思惑が広がり、主要3指数全て上昇しました。
なお7月CPIの結果は以下の通りです。
- コアCPI(食品とエネルギーを除いた)は前月比0.2%上昇-市場予想と一致
- 前年同月比では3.2%上昇-市場予想と一致
- 6月は3.3%上昇
- 総合CPIは前月比0.2%上昇-市場予想と一致
- 前年同月比では2.9%上昇-市場予想は3%上昇
- 6月は3%上昇
株式 | 終値 | 前日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500 | 5455.21 | 20.78 | 0.38% |
ダウ工業株30種 | 40008.39 | 242.75 | 0.61% |
ナスダック | 17192.60 | 4.99 | 0.03% |
S&P500種株価指数は5営業日続伸しており、ここ1カ月余りで最長の連続高となっています。金融とエネルギーを中心に主要な業種別指数の大半が値上がりした。
GOOG(グーグル)は-2.35%、TSLA(テスラ)は-3.10%と、S&P500指数の足を引っ張りました。一方NVDA(エヌビディア)は+1.67%と株価を伸ばしています。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、「昨日の生産者物価指数(PPI)ほど冷え込んではいないかもしれないが、予想通りとなったこの日のCPIは市場を揺るがしはしないだろう」「今最大の問題は、来月のFOMCでの利下げ幅が25bp(bp、1bp=0.01%)になるのか、50bpになるのかだ。向こう5週間のデータが総じて景気の減速を示唆するなら、FOMCはもっと積極的に引き下げるかもしれない」と述べた。
ヒートマップはこのような状態になっています。
債券市場
米国債の状況
これまで債券市場では0.5%の利下げを織り込んでいましたが、CPIの発表を受け「0.25%利下げもあり得る」との観測が広がり、金利が小幅とはいえ低下しています。
国債 | 直近値 | 前日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.13% | -3.2 | -0.76% |
米10年債利回り | 3.84% | -0.6 | -0.15% |
米2年債利回り | 3.96% | 2.9 | 0.73% |
為替市場
NY市場においてドル円は小幅に動き、1ドル=147円台前半で取引を終えました。
本格的な円高トレンドを形成するほどのインパクトは、今回のCPIの結果にはなかったようです。
原油先物
原油先物価格の指標であるWTI原油は続落、前日比1.37ドル(1.8%)安い1バレル=76.98ドルで取引を終了しています。年末にかけて世界の需給が供給超過になるとの懸念が広がる中、予想外の米原油在庫積み上がりが明らかになり、週初からの上昇分を失っています。
米原油在庫は136万バレル増加、7週間ぶりにプラスとなった。これとは対照的に13日の米国石油協会(API)報告では、在庫は520万バレル減少とされていた。ガソリンと留出油の在庫はいずれも減少。夏のドライブシーズン需要の根強さをうかがわせています。
指標
投資家の恐怖を表すVIX指数は、現在16.20。
大分楽観的なムードが漂っています。これは先々の株式市場にとって非常に良いサインです。これからもう一段階くらい株価が上昇する可能性があります。
強欲指数であるFear&Greed Indexは”恐怖”を指しています。
一時、極度の恐怖を指していた強欲指数ですが、CPIの発表を受けて改善されてきました。
これは投資家が株式に対してポジティブになってきていることを示唆しています。恐怖指数も改善していることから、株式にとって追い風になると思います。
ですが本来、大多数の投資家が悲観的な見方をしているときこそ、仕込み時だったりもします。
伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏の投資信条に「他人が強欲になっているときに恐れて、他人が恐れているときに強欲になることだ」があります。
「今から株を買い向かうのは遅い」、と断言するつもりはありません。ですが動き出す時(買い向かう時)というのは、投資家が総悲観の最中だった先週のような状況がベストだったのかもしれません。
まとめ
CPIの結果は市場の予想通りでしたが、以前ほど重要視されないフェーズにきていると思います。FRBのパウエル議長も「インフレと”労働市場”を注視していく」と発言しているように、これからは雇用状態もチェックしていく必要があります。
実際足元の失業率は、サーム・ルールが点灯するほど急速に悪化しています。
この状態で、9月に利下げをしたとして0.25%で本当に足りるのか?0.5%利下げが妥当ではないのか?はたまたそれ以上の0.75〜1.0%くらいの急激な利下げが必要になってくるのか?、といったことを想定しながら市場をウォッチしていきましょう。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。