株式市場
8月9日の米国株式は、落ち着きを取り戻しつつあります。米国の景気後退懸念から波及した今週初めの株式の下落によって、投資家たちのセンチメントは悲観的になっていました。
ですが、予想より好調な経済指標や日銀の副総裁の発言などが、投資家たちを一安心させ株価が上昇しています。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500 | 5344.16 | 24.85 | 0.47% |
ダウ工業株30種 | 39497.54 | 51.05 | 0.13% |
ナスダック | 16745.30 | 85.28 | 0.51% |
ダウ平均は、AAPL(アップル)・AXP(アメリカン・エキスプレス)・CRM(セールスフォース)・GS(ゴールドマン・サックス)・JPM(J.Pモルガン・チェース)、などが上昇を牽引しました。
一方、MCD(マクドナルド)・UNH(ユナイテッド・ヘルス)・PG(プロクター&ギャンブル)といったディフェンシブ銘柄が下落しています。
これまで景気後退懸念があったことで買われていたディフェンシブ銘柄ですが、その懸念が和らいだことによって一時的に他のセクターに資金がはいっていったものと推測してます。
S&P500はエヌビディアが➖0.21%下落していますが、その他のマグにフィセントセブン銘柄は小幅に上昇しました。
ヒートマップを確認すると、昨日の緑一色とは打って変わって各セクターまちまちに値動きしています。
そして来週は重要な経済指標が待っています。火曜日にアメリカ生産者物価指数PPI、水曜日に消費者物価指数CPIがそれぞれ発表されます。先月のパウエル議長は「物価上昇よりも雇用状態に重きを置く」といったニュアンスの発言をしていますから、2%に近づいていることよりも”上昇していないこと”これが確認できれば利下げする、と考えているのではないか?と思っています。
来週のアメリカの経済指標には要注目です。
債券市場
米国債の状況
米国債は高安まちまちで推移し、10年債は上昇しました。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.22% | -5.7 | -1.34% |
米10年債利回り | 3.94% | -4.8 | -1.20% |
米2年債利回り | 4.06% | 1.7 | 0.43% |
FRBの利下げは確実視されているものの、その幅については意見が割れているようです。以下Bloombergから引用。
今週は積極的な米利下げの織り込みが進んだ後、年内の利下げ幅見通しは約100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に縮小している。
エコノミストの大多数は、9月の米利下げ幅は0.25ポイントにとどまるとみていることが、ブルームバーグがまとめた調査で分かった。ウォール街の大手金融機関が0.5ポイント利下げを予想したのとは対照的だ。
為替市場
ニューヨーク外為市場では、円が上昇し146円台後半をつけています。
機関投資家が行っている”円を借り入れて他の金融資産を買う”「円キャリートレード」。7月末に日銀が利上げを発表した後、急速に円高が進行したのは、さまざまな理由が考えられますがこの円キャリートレードが急速に解消されたことが要因の一つに挙げられます。
シティグループのストラテジストは「短期的な調整はほぼ終わったが、過去数年に積み上がっていた円キャリーのポジションはかなり大規模のようだ」「従って、現在の調整はこうしたキャリー取引の終わりが始まりつつあるに過ぎないと当社ではみている」「来年には140円を下回るドル安・円高になると予想している」と指摘しています。
BNYの市場戦略・インサイツ責任者、ボブ・サベージ氏は、「円は1ドル=147円程度の現在の水準では安過ぎで、長期的な適正水準は100円の方に近い」との分析結果を示しています。
個人的には「流石に1ドル100円はないだろう」という感想を抱きました。
とはいえ、このような意見があることには耳を傾けた方が良いでしょう。
大手銀行のJ.Pモルガンはキャリートレードの巻き戻しは75%完了した、と見ているようです。
ですが、まだキャリートレード戦略の巻き戻しはこれからも続くでしょう。
FRBが利下げに転じ、日銀がさらなる利上げをしようものなら、ここ数年の株価上昇を全て打ち消すような暴落につながるかもしれません。
私は暴落煽りをしたいわけでも、株は売ってしまえ、と言いたいわけでもありません。
大事なのは、何時如何なるどんな状況に陥っても後悔のない、そして自分が心穏やかにいれるポジションを取ることです。
ぜひ自分なりの戦略を考えてみてください。
指標
VIX指数は大きな変化はなく、現在20.36と大分下降してきました。
Fear&Greed Indexは昨日と変わらず”恐怖”よりの”極度の恐怖”を示しています。
まとめ
記事中でも申し上げましたが、私は暴落煽りをしたいわけでも、株は売ってしまえ、と言いたいわけでもありません。
何時如何なるどんな状況に陥っても後悔のない、そして自分が心穏やかにいれるポジションを取ることが重要だと考えています。
米国株や全世界株に投資している方は、今一度自分の投資戦略を考え直してみてください。
アメリカが想定以上の利下げを行ってしまえば、キャリートレードの解消が引き金となり、予想以上の円高になってしまう可能性があります。
そして株安&円高は外国株式に投資している方にとって、ダブルパンチとなります。つまり、想定以上に資産を目減りさせる危険性があるということです。
米国や全世界株に限った話ではなく、日本株にも同じことが言えます。
今週頭にあった日経平均の大暴落。リスク許容度以上の投資をしていると、それに慌てて狼狽売りをしてしまいかねません!
株は長期間持ってようやく平均利回り4〜7%くらいの年率に落ち着くのです。
しかし頭ではわかっていても、実際にその時が来れば不合理な選択を取ってしまうのが人間です。なので、「このお金は最悪失っても良いや」くらいの金額を投資するのがベターです。
せっかく自分で稼いだ大切なお金なのですから、目先の安易な選択で全てを失ってしまわないように、気をつけていきましょう!
私はインデックスを積立投資し続けていきます。そして、もう少し経ったら高配当株投資へ資金を振り向けよう、こういう戦略でいます。
皆さんも自分なりの戦略を立てて、投資をしていってください。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。