9月6日に発表された8月の米雇用統計は、市場予想以上の弱い結果となった。
非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を下回り、6、7月分も下方修正されました。結果は以下の通りです。
- 非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比14万2000人増加
- エコノミスト予想の中央値は16万5000人増
- 7月は8万9000人増(速報値11万4000人増)に下方修正
- 家計調査に基づく失業率は4.2%に低下(市場予想と一致)
- 7月は4.3%
株式市場
8月雇用統計を受け、景気の冷え込みに対して米金融当局が後手に回っているのではないか、との懸念が再燃したため、米主要3指数は軒並み下落しました。
S&P500は週間ベースでは2023年3月以来の大幅安となりました。
株式 | 終値 | 前日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500 | 5408.42 | -94.99 | -1.73% |
ダウ工業株30種 | 40345.41 | -410.34 | -1.01% |
ナスダック | 16690.83 | -436.83 | -2.55% |
米連邦準備制度理事会(FRB)の中でもタカ派(金融引き締めに積極的な立場を取る派閥)で知られているウォラー理事は、「労働市場にはさらなる軟化のリスクが増えており、連邦公開市場委員会(FOMC)が今月の会合で利下げを開始することは重要だ」と述べました。
これまで引き締めに積極的な意見が見られてたウォラー理事ですら、利下げについて言及し出したことは、それほど事態が深刻だということかもしれません。
ヒートマップはこのような状態になっています。ほぼ赤一色になってます。
マグニフィセント・セブン銘柄は全て下落という、昨今見られなかった状態になっています。
債券市場
2年債利回りは先ほど紹介したウォラーFRB理事の発言後、15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下する場面もありました。
金利スワップ市場ではウォラー氏の発言を受け、9月FOMC会合での50bpの利下げを織り込む動きが一時強まったものの、そうした動きは再び失速しました。
国債 | 直近値 | 前日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.03% | 0.9 | 0.22% |
米10年債利回り | 3.72% | -0.6 | -0.15% |
米2年債利回り | 3.66% | -8.3 | -2.21% |
為替市場
ニューヨーク外国為替市場では、ドル円は雇用統計発表直後から急激に円高に進み、一時142円を切りそうな水準まで円高になりました。
しかし、その後は1ドル=142円前半で取引を終えています。
9月FOMC会合でどの程度の利下げが行われるかについて、市場参加者の間で見解が割れているようです。
原油先物
原油先物価格はさらに下落。米雇用統計が軟調だったことから、世界最大の原油消費国である米国の需要が低迷するとの懸念が強まったため。
WTI先物は前日比1.48ドル(2.1%)安の1バレル=67.67ドルで取引を終えています。
金先物
金相場は下落。雇用統計発表後に一時上昇したが、その後下げに転じました。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、前日比18.50ドル(0.7%)下落し1オンス=2524.60ドルで取引を終えてます。
指標
投資家の恐怖を表すVIX指数は、現在22.37。(前回は19.89)
強欲指数であるFear&Greed Indexは、”恐怖”を指しています。
投資家のセンチメントが悪化している兆候が出ています。
セオリー通り行くのなら、こういうセンチメントが悪化している時が絶好の買い場、になるのですが、景気後退懸念が燻りつつある今の状態だと様子見した方が無難だと思います。
まとめ
以前から相場には「良いニュースは悪いニュース、悪いニュースは良いニュース」というような格言があります。
しかし、今は逆で「良いニュースは良いニュース、悪いニュースは悪いニュース」となっています。当たり前の反応ですよねw
雇用統計は(おそらく大抵の方が予想していた通り?)悪い結果となりました。
唯一失業率だけが市場予想通りとなり、前月より改善されました。
まぁこれに関しては先月の数字が酷すぎたため、少しだけ持ち直しただけだろう、という見方ができます。
しかし、それ以外の結果が下方修正されていることを考慮すると、今回発表された失業率のデータをどこまで信用して良いのか疑問が残ります。
これから市場の注目は、9月のFOMCに向かっていきます。
そこでどれくらいの利下げが行われるのか?警戒してウォッチしたいですね。
今の所CME FedWatchの政策金利見通しは25bp(0,25%)の利下げ見通しが7割となっています。
いつも書いていますが、大事なのは今市場にあるリスクを認識しつつ、後悔のないポジションをとっていくことです!
相場に居続けることを考えて、そして株価が上昇したとしても暴落したとしても納得いく投資を行っていきましょう。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。