株式市場
8月15日の米国株式は、主要3指数全て上昇しました。
S&P500は7日連続で上昇し、週間では年初来で最大の上げとなった。
8月頭にあった大きな暴落はどこへいったのやら、S&P500は再び史上最高値を試す展開になっています。
なお、16日に発表された7月の一戸建て住宅の着工件数の結果は以下の通りです。
- 年率換算(季節調整済み)で前月比14.1%減の85万1000件
- 全体の住宅着工件数は6.8%減の123万8000件。
市場予想は133万件 - 前年同月比では14.8%減少
ハリケーンと高金利の住宅ローン及び住宅価格が影響して5カ月連続で減少してます。
キャピタル・エコノミクスの北米チーフ・エコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「金利低下が新築住宅販売を下支えするものの、一部の地域での供給過剰が、以前の予想よりも大きな障害となる可能性がある」と述べた。
株式 | 終値 | 前日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500 | 5554.25 | 11.03 | 0.20% |
ダウ工業株30種 | 40659.76 | 96.70 | 0.24% |
ナスダック | 17631.72 | 37.22 | 0.21% |
ほとんどの超大型株が上昇し、特にエヌビディアの上げが目立ちました。ナイキは9連騰で、約8年ぶりの長期連続高となった。
ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「今週発表された安堵(あんど)感をもたらすインフレ統計で投資家は自信を強め、市場の楽観的な見方が顕著に急増した。根強い押し目買いの心理は健在だ。過去1カ月にわたって様子見に回っていた投資家は、再び市場に戻ろうと躍起になっている」と指摘。
今投資家が注目しているのは、1週間後に控えているワイオミング州ジャクソンホールでのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演でしょう。そこで次回のFOMCに関する何かを示唆する期待が高まっています。
ヒートマップはこのような状態になっています。
債券市場
米国債の状況
米国債は価格が上昇したことにより、債券利回りは下落しています。
国債 | 直近値 | 前日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.14% | -3.1 | -0.74% |
米10年債利回り | 3.88% | -3.2 | -0.83% |
米2年債利回り | 4.05% | -4.3 | -1.06% |
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアンナ・ウォン氏は「パウエル議長の講演は、金融政策全体が意図した通りに機能しており、現在の金利水準は景気に抑制的だというのが主なメッセージになるだろう。パウエル議長は雇用とインフレの二大責務のリスクバランスがほぼ均衡していると発言する可能性がある。利下げを示唆するとみているが、幅が25bpか50bpかは明言しないだろう。それは8月の雇用統計次第だ」と語った。
為替市場
軟調な米住宅統計を受けてドル売りが優勢になり、ドル円相場はNY市場において、1ドル=147円台後半で取引を終えました。
原油先物
原油先物価格の指標であるWTI原油は反落。前日比1.51ドル(1.9%)安い1バレル=76.65ドルで取引を終えています。
中国の景気減速と、イラン勢によるイスラエル攻撃といった地政学的リスクへの警戒によるものです。
指標
投資家の恐怖を表すVIX指数は、現在14.81。
15を下回るなど、投資家のセンチメントは大分改善されて来ています。
強欲指数であるFear&Greed Indexは”恐怖”を指しています。
一時、極度の恐怖を指していた強欲指数ですが、今週の経済指標を受けて改善されてきました。
これは投資家が株式に対してポジティブになってきていることを示唆しています。恐怖指数も改善していることから、株式にとって追い風になると思います。
ですが本来、大多数の投資家が悲観的な見方をしているときこそ、仕込み時だったりもします。
伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏の投資信条に「他人が強欲になっているときに恐れて、他人が恐れているときに強欲になることだ」があります。
「今から株を買い向かうのは遅い」、と断言するつもりはありません。ですが動き出す時(買い向かう時)というのは、投資家が総悲観の最中だった先週のような状況がベストだったのかもしれません。
まとめ
記事中でも触れましたが、来週ジャクソンホール会議があります。そこでFRBのパウエル議長がどんな発言をするのか、要注目です。
以前FOMCにてパウエル議長は「インフレと”労働市場”を注視していく」と発言しているように、これからは雇用状態もチェックしていく必要があります。
実際足元の失業率は、サーム・ルールが点灯するほど急速に悪化しています。
この状態で、9月に利下げをしたとして0.25%で本当に足りるのか?0.5%利下げが妥当ではないのか?はたまたそれ以上の0.75〜1.0%くらいの急激な利下げが必要になってくるのか?、といったことを想定しながら市場をウォッチしていきましょう。
そしてこれまで機関投資家の間でトレンドだった円キャリートレードも転換点を迎えています。
「ヘッジファンドの円ポジションが2021年以降で初めて強気に転じた」との報道がありました。
米商品先物取引委員会(CFTC)の報告によると、レバレッジドファンドの円のネットロングは86枚(約700万ドル相当)に増加。円の売り越しが約2万枚だった6日終了週から一変した、とのこと。
これは、ここ数年起きたことの逆回転が起こる可能性があることを示唆しています。
「低金利通貨の円で借り入れ、国外の高利回り資産に投じる」これがキャリートレードです。円買いが進行してしまえば、これまで資金が流れていた高利回り資産から資金の引き上げが起こります。
まだどれくらい円キャリートレードが残っているのか未知数ですが、8月頭に起こった日米株の暴落が、再度起こる可能性があります。
大事なのはそのリスクを認識しつつ、後悔のないポジションをとっていくことです!
相場に居続けることを考えて投資を行っていきましょう。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。