投資の神の見通しは暗い?
著名投資家のウォーレン・バフェットが”またしても”株式を売却しています。
保険会社バークシャー・ハサウェイは3日、4-6月(第2四半期)の決算を発表。
バークシャーのポートフォリオの大半を占めるアップル株、その保有を50%近く削減しました。
合わせて、バークシャーは4-6月期に全体で755億ドル相当の株式を売り越した、と発表。
ここ最近、バークシャーはずっと株式を売り越しています。
8月2日には大手銀行バンク・オブ・アメリカの株式を12営業日連続で売却、7月半ば以降、持ち分を計8.8%(38億ドル)減らしています。
なお、石油大手のシェブロンも保有株式の3%を売却しているようです。
しかし、売却したとはいえ、バークシャーの株式投資ポジションの約3割をアップル株が占めています。重要な投資先であることには違いはありません。
それを受けて、バフェット氏の現金保有高は過去最高の2769億ドル(約40兆5700億円)に増加しています。
株式運用額も同時に増加しているとはいえ、この莫大なキャッシュポジションは異様です。
なぜこんなに売っているのか?
バークシャーは第1四半期にもアップル株を13%削減、売却しています。
5月に開かれた株主総会で売却の理由を株主に説明した際、明言はしていないものの「税法上の理由」であると仄めかしています。
しかし、今回(第2四半期)でも継続して削減したことには違和感を覚えます。
それに”単なる税金対策”にしては、今回の売却額は大きすぎます。
正確な理由はバークシャー、およびバフェット本人しか知り得ません。
本当に節税目的なのか?、会社(個人)都合なのか?、ポートフォリオのバランス懸念なのか?…
いずれにせよ、今回(に限らずここ最近の)大量売却&現金保有している現状をみると、投資の神様は今の株式市場にあまり期待を寄せていない、ことが伺えます。
実際5月の株主総会でキャッシュの使い道について、「資金を投じたいのは山々だが、リスクがほとんどなく、私たちを大儲けさせてくれるものにしか資金を投じることはない」「ただ魅力的な投資先が見つからないだけだ」と語っています。
バフェットは今の株式市場や米国経済に対して、警戒感を強めていることが伺えます。
アメリカに漂う暗雲
米国企業の決算が軒並み発表されていますが、正直「イマイチ」という感想を抱かざるを得ません。
投資家の考える米国企業の”良い決算”は「売上高・EPS・会社側ガイダンスのどれもが予想を上回ること」、です。
売上高・EPSは予想通りでも、来期以降の会社予想が期待外れだと良い決算とは言えません。
今回の決算発表はほとんどの企業が、会社側ガイダンスが市場予想と同じに据え置いています。これはこれからの経済に不確定要素が多いため、予想の上方修正を出来ない事情があると思います。
ですが、この行為は投資家から”期待はずれ”のレッテルを貼られかねません!
「もっと良い見通しを出して見せてよ!」と思われてしまいます。
先日発表された弱い雇用統計が、米国経済が勢いを失っていることの何よりの証明になっています。
投資の神様はこれらを警戒していて投資を見送っている、かどうかは分かりませんが、今はドルコスト平均法での積立投資は継続し、それ以外は投資を見送る(休む)。こうした判断が必要な局面なのかもしれません。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。