ドミナント戦略成功の鍵を握る注意点
特定の地域や市場において集中的にリソースを投資することで、圧倒的な市場シェアを獲得する戦略である「ドミナント戦略」。
コンビニチェーン店セブン・イレブンがこの戦略を採用し規模を拡大するのに成功したことは有名です。
ドミナント戦略の主なメリットは次の通りです:
- スケールメリットの活用:物流や広告などでコスト削減が可能。
- 市場支配力の強化:競合他社の参入を抑制し、ブランド力を強化。
- 効率的な資源配分:特定エリアへの集中投資により成果を最大化。
ですが、このドミナント戦略には”リスク”が存在し、注意深く運用しなければ、想定外の結果を招く可能性があります。
その”リスク”というのが「カニバライゼーション」です。
カニバライゼーション(Cannibalization)とは、自社の新製品や新サービスが、既存製品やサービスの売上を食い合う現象を指します。
簡単に説明すると、”お客さんの取り合い”ということです。
例えば、新たに開店した店舗が近隣の既存店舗の顧客を奪う場合がこれに該当します。
カニバライゼーションは以下の問題が起こる可能性があります。
- 利益の減少:全体の売上は増加しても、既存店の利益が減少することで利益が落ちる。
- ブランド価値の低下:過剰な展開が顧客に飽きられる原因になる場合がある。
- 経営リソースの浪費:期待した成果が得られず、投資が無駄になるリスク。
ドミナント戦略を採用する際、カニバライゼーションは避けて通れない課題です。
店舗を密集展開してしまえば、既存店舗の間で顧客の奪い合いが発生します。
このリスクを軽減しない限り、戦略全体の効果が薄れる可能性があります。
ドミナント戦略の失敗例として一例を挙げると、「いきなり!ステーキ」があります。
急速に店舗拡大をしていき、一時は国内のみならずアメリカにも店舗を構え300店舗以上となるなどイケイケの状態でした。
ですが、大量出店によってお客さんの取り合い(上記で説明したカニバライゼーション)が起こり、不採算店舗が大量に発生し赤字を計上する結果を招きました。
その後は皆さんご存知の通り閉店ラッシュが起こり、運営元企業の「ペッパーフードサービス」はそれまで好調だった”ペッパーランチ”の運営を切り離す事態に陥りました。
カニバライゼーションを防ぐためのポイント
ではドミナント戦略を成功させるため、そしてカニバライゼーションを避けるためには、どのような対策が重要なのでしょうか?
以下の対策が挙げられれます。
- 適切な立地選定
新店舗を開設する際、既存店舗との顧客エリアの重複を最小限に抑える立地戦略を採用します。 - 差別化戦略
新店舗ごとに異なるターゲット層を設定したり、独自のサービスや商品を展開することで、既存店舗との違いを明確にします。 - 市場データの活用
データ分析を駆使して、顧客の動向や需要予測を正確に行い、無駄な投資を回避します。 - 段階的な展開
一度に多くの店舗を開設するのではなく、段階的に進め、反応を見ながら戦略を調整します。
まとめ
ドミナント戦略は強力な市場支配力を生む可能性を秘めていますが、その裏にはカニバライゼーションというリスクも存在します。
成功するためには、慎重な計画とデータ分析を基盤とし、リスクを最小限に抑える取り組みが必要です。
ドミナント戦略は基本的に資本を多く持っている企業(大企業)が優位に立てるので、中小企業や個人事業であれば戦略を取り入れるのは慎重になった方が良いかもしれません。
もしドミナント戦略を採用するのなら、戦略的な視点でこれらの課題に対応し、持続可能な成長を目指しましょう。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。