「クレド」という言葉を聞いたことはありますか?
現代のビジネスにおいて、ブランド力を支えるのは「理念」と「行動指針」です。
その中で特に注目されるのが クレド です。
世界的な高級ホテルチェーンである「リッツ・カールトン」。
同ホテルはこのクレドを活用し、顧客満足度で群を抜く成功を収めています。
今回はそんなクレドの重要性について書いていこうと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
1. クレドとは?
クレド(Credo)とは、企業や組織が掲げる理念や信条を、簡潔で覚えやすい形にまとめたものです。
「信条」「誓い」という意味のラテン語に由来し、企業文化や社員の行動規範として活用されます。
クレドの主な役割は以下の通りです:
- 組織の方向性を示す:社員が日々の業務で迷わないように道標を提供。
- ブランドの一貫性を保つ:すべての行動が企業の価値観に基づくことで、顧客からの信頼を得られる。
- 社員のモチベーション向上:理念に共感する社員の結束力を高める。
2. リッツ・カールトンのクレドとその効果
リッツ・カールトンは、クレドを活用した企業運営で有名です。
同ホテルチェーンでは「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen(紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です)」というクレド、いわゆるモットーを掲げています。
このシンプルな一文には、以下のような意味が込められています:
- 社員の誇り:スタッフ自身が「紳士・淑女」として扱われ、尊重される。
- 顧客へのサービス精神:顧客を「紳士・淑女」としてもてなし、最高水準のサービスを提供。
さらに、リッツ・カールトンではクレドを実践するため、「ゴールドスタンダード」 という基準を設けています。具体的には、以下のような仕組みがあります:
- 社員研修の徹底:全社員がクレドを暗唱し、日々の業務で実践。
- 裁量権の付与:社員一人ひとりが顧客満足のために最大2,000ドルの判断を任されている。
- 日々の共有:「デイリーラインアップ」という朝礼で、クレドの重要性を再確認。
これにより、リッツ・カールトンは世界中で「最高のサービス」を提供し続けています。
3. 成功事例:リッツ・カールトンのクレドが生む感動体験
リッツ・カールトンのクレドが生んだ成功事例として、多くの感動的なエピソードが語られています。その中の一つを紹介します。
ある家族がリッツ・カールトンに宿泊した際、子どもがぬいぐるみを部屋に忘れてしまいました。
家族は次の目的地に到着して初めてそのことに気づき、ホテルに問い合わせました。
その後、ホテルはただぬいぐるみを返送するだけではなく、以下のようなサービスを提供しました:
- ぬいぐるみをホテル内で「冒険させる」写真を撮影:プールサイドやレストランで楽しむ姿を収めた写真が同封されていた。
- 手書きのメッセージ付きで返送:子どもに向けて「ぬいぐるみは冒険から無事に戻った」という心温まるメッセージが添えられていた。
このエピソードはSNSを通じて拡散され、リッツ・カールトンのブランド価値をさらに高めました。
このような「顧客の期待を超えるサービス」は、クレドに基づく社員の行動によって実現されています。
4. 他企業がリッツ・カールトンから学ぶべきポイント
リッツ・カールトンの成功事例は、他の業界や企業にも応用可能です。以下はそのヒントです:
- 明確な理念を掲げる:クレドはシンプルでわかりやすいほど効果的です。
- 社員に裁量権を与える:トップダウンではなく、現場で迅速な判断ができる体制を構築。
- 感動体験を共有する:顧客の期待を超える事例を社内外で共有し、成功体験を広げる。
まとめ
リッツ・カールトンの事例は、理念を実践することでブランド価値が飛躍的に向上することを示しています。
企業がこのアプローチを採用することで、業界を問わず成功を収めることができるでしょう。
企業が理念を単なる「言葉」ではなく「行動」に変えるとき、真の変革が始まるのです。
正直「綺麗事を並べているだけ」と感じてしまう方もいるでしょう。
せっかく立派な理想を掲げても、従業員、ないし企業のトップが全く守っていなければ形骸化してしまいますからね。
だからこそ、企業のトップ(ないし役員)は徹底していく必要があります。
でないと、従業員への示しがつきませんし、忠誠心が薄れ離職につながってしまいます。
こういった部分には十分に留意しましょう。